2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

とこしえの記憶・1

カツ、カツと冷たいヒールの音が校舎の廊下を静かに響く中、 伊達は一人、職員室の窓から外の光景を眺めていた。 『由香里‥能力者に、あいつに対抗するには、おまえの力が‥』 伊達は眉を潜めて背広の懐にしまってあった煙草を吹かす。 一息煙を吹いた視線の…

血染めの舞踏衣(ドレス)

『あなた‥その力… 貴方も、能力者なの…?』南が怪訝な表情で美奈を見つめる。 美奈は黙って添い寄せた泰星への手を離し、軽く膝に付いた返り血を拭ってゆっくりと南のほうに歩み寄る。 『…まるで私の力を、私のまわりの人達が望むように、傷ついていく… みん…

聖なる誘惑と彼女の疵

夜も更け、周りの空気が冷め静かに夜の帳が空を包み込む頃、 青華祭舞踏会もやがて後半の幕にさしかかっていた。 周囲の生徒達の歓声は役者、泰星の動向に収束されるものと思われていた。 しかし、当の泰星はややもしてから舞踏会舞台の表から席を外しており…

女神は夜に踊る

夜には月に導かれし光がある。 心が晴れてすれば‥光は届く その無垢な心 何故闇に閉ざそうとする? 懺悔‥後悔… もう、とうの昔に捨てた‥ 青華学園内の講堂は合い重なる歓喜と相まってその昂ぶりは最高潮を迎えようとしていた。 控室の一席で美香は自分の携帯…

青華祭

さぁ。 宵闇の光を浴びて輝く暁の乙女よ。 この日こそが、私が乞い、求める全てが叶う日であると切に願う。 私がこの目で見るものは全て真実。 私が信ずるものも、全て真実。 願わくば、今日と言う日がいつか振り替える過去の自身にとって、 忘れ得ぬ日にな…