2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

銀の雪・2

美香はどこか途方に暮れた表情で職員室の外を見つめる。 『‥先生?』 先程紗映の外をふと通りすがった一人の少年がいた。紗映は、どこかで彼の存在を見たことがあるような気がした。 『顔色がどこか優れないですね。先生。 今朝の花壇の一件を気にされている…

銀の雪・1

『紗映。お前は自分の信念をもって生きるのだ。 よいな、紗映、惑わされるな。踊らされるな。 …ただ、自分だけを信じ、さすれば、その先にやがて光さえ見えることも叶おう。』 父の最後に残した言葉だった。 物心がついた時には、自分は家族というものがいた…