2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

恵みの雨・1

『不意に訪れる雨。 その雨は、誰の為に降るものなのか。やがて冬が終われば、全ては安楽へと導かれる。悲しいな。 神は、未だ終末を望んでいないということか。 暗黒と凶滅のディストラクション…今宵こそは、等しく我が願いが叶うことを祈る。』 それは、誰…

そして始まる粛清の時へ

都内の街角、喫茶siestaには何時もの朝を告げる一日が始まろうとしていた。 日常をそつなくこなす。それ自体に特別の意味は存在しない。 だが、確実に一つの手がかりをつかむために片桐は一人コーヒーカップを拭き取りながら物思いに更ける。 日常に、自分の…

誰も僕を知らない

再びこの街に幾度となる繰り替えされるであろう夜明けが近づこうとしていた。 眼前の南は埠頭のベンチに身体をより預けるようにして眠っている。 意識は目覚めているのだろうか? 不意に、どうでもいい思考が地場の胸を過る。 そして、地場はあの言葉を思い…