悪意を辿る

(画像は『オーロラ画廊』より、「君を待つ」
ちずかさん、イラストお借りします。ありがとうございます☆)
『その邪眼の力なら、私の見せる光景もはっきりうつるでしょう。
この子は、私と同じ能力者、山室イズミ。
今、貴方の姉さんと同じ病院にいるけど意識不明の死の境をさまよっている。
…惜しむべきは、だれもが力を取り戻せていなかった。だから…』
『誰の仕業?』
『人ではない何者かに操られた思念体が具現してその肉体を宿したもの。』
『…そう。』
早夜はひどく冷静になりすぎていた。いや、逆にこのような状況下のもとなら、我を忘れて呆れ笑うか、全てを知ったかのようなふりをして達観するかのどちらかなのだ。
しかし、早夜には奇しくも目的があった。姉を…奈魅留を、助けなければならない。だからこそ…
『鈴木さん、貴方を私は信じていいんですか…?』
『紗映…でいいわ。
私は、信じてなんていわない。でも、私は』
途中の言葉を早夜がさえぎる。全てを、受け入れたようにみえたその表情。
迷いはない。
姉さんを私が救いだせることができるのなら。
『…ありがとう。
私は敵の動向を探っている。また、この場所にくるわ』
そうして、軽く早夜にほほえむと紗映は夜の闇へと消えた。






『これ以上泳がせていいのか。紗映を。』
『心配には及びません。いや、むしろ、あいつが能力者を集めてくれるなら本望でしょう。ククク…』
『まぁよい。
美香とイズミはまだ戻ってきていないのか?』
『イズミはもはや使い物になりません。
美香が、真実を知りえないのならば、まだ使い道はあるかと。』
『もうよい。
美香ほどの剛直な人間が己が意志をそうたやすく曲げはしまいて。
必ずや余の命に従ってくれよう。
それに、万が一美香が死ぬようなことになっても
それはそれで、よいのだよ。』
『は…?』
『いや、なんでもない。もうよい、さがれ。』
…to be continued.